これまでは従業員の教育に対してかかる費用は「コスト」と考えられていました。しかし、従業員は会社にとって大切な「資本」であると考えて人材に対して先行投資の重要性が高まりました。

人材や働き方が多様化していく中で、人的資本経営は企業の成長に必要であると考えられており、さまざまなステークホルダー(株主・顧客・取引先など)も人的資本経営が実践されているかについて重要視することになるでしょう。

近年、企業価値を判断する基準として人的資本経営が注目されているため、各企業は的確な人的資本経営を実践できるかが今後の課題として挙げられています。

しかし、独学でインプットした知識のみで人的資本経営を実施することは難しいため、オンラインセミナーや勉強会に参加して専門家の意見を聴き理解を深めていく必要があります。

今回は、人的資本経営に関するセミナーについて、参加するメリットや学べる内容を解説しますので参考にしてください。

人的資本経営はセミナーで学ぶのがおすすめ

人的資本経営とは

人的資本経営とは、従業員や人材を組織の重要な資本として捉え、
その資本を最大限に活用し、中長期的に企業価値を向上させるための経営手法です。

人的資本経営が従来の経営手法と異なる点の一つとして人材採用があります。
特に大企業は新卒を大量に採用して、組織内で適正などを確認しながら育成することを基本としており、❝人材に対して仕事を割り当てる❞手法を取っていました。

一方で人的資本経営では、「採用」だけでなく「活躍」「定着」まで見据えた設計をするため、従業員の「活躍」を促す手段の一つとして❝仕事に対して人材を割り当てる❞手法を取ります。

このような人的資本経営を実践するだけでなく、取り組んだことを外部に対してアピールすることも重要です。前述したような人材採用に力を入れていることが外部にも伝われば「成長が見込める企業」として評価してもらえるメリットがあります。

これまでは人的資本経営に注力したとしても、情報開示せずに企業内だけで把握するケースが多かったですが、近年では国が主導となって人的資本経営の情報開示を義務化させる方針を決定しているため、情報開示をする前提で人的資本経営を進める必要があります。
こういった背景から増々注目を集めている経営手法が人的資本経営です。

人的資本経営について詳しい解説はこちらをご覧ください。

人的資本経営をオンラインセミナーで学ぶメリット

自社で人的資本経営を実践しようとしても、何から取り組んでいけばいいか迷ってしまうケースは多いです。

更には人的資本経営の本質を理解しないまま情報開示をしても失敗してしまうケースさえあります。具体例として、アメリカの金融機関JPモルガン・チェースが男女間の平均報酬格差を公開してしまい、多くの批判を受けることになった事例があります。

人的資本経営の情報開示は、企業の透明性や社会的責任を果たすために重要ですが、実践と情報公開する前に人的資本経営を正しく理解する必要があります。

人的資本経営の理解を深めて実践する方法として有効的なのがオンラインセミナーへの参加です。オンラインセミナーで学ぶメリットは以下の3つが挙げられます。

  • 短時間で専門知識の習得可能
  •  最新のトレンドを踏まえた知見の習得
  •  抱えている課題に合った講義を選べる

それぞれのメリットについて解説します。

短時間で専門知識の習得が可能

人的資本経営は、あらゆる要素を考慮して実施する必要がある経営手法のため、それぞれの要素についての専門知識を習得する必要があります。

「ESG投資」「従業員エンゲージメント」「健康経営」「ISO30414」「人的資本可視化指針」など様々な専門用語の理解が必要ですが、これを独学で習得しながら理解するには時間がかかってしまいます。基礎知識から講義をしてくれるオンラインセミナーに参加すれば、専門知識を体系立てて説明してくれるため、複雑な専門知識を整理しながら習得することができるメリットがあります。

最新のトレンドを踏まえた知見の習得

人的資本経営の考え方は日々多様化しており、最新の知識を持ち続けることが重要です。最近では「人的資本経営を成功させる人事DX」といったオンラインセミナーも増えており、新しいテクノロジーやトレンドに合わせた解説も多いようです。

そのため、トレンドを踏まえたオンラインセミナーに参加することで、実務経験が豊富な講師から最新の人的資本経営の知識を得ることができます。ただし、トレンドを踏まえたオンラインセミナーは基礎内容の解説を省く可能性が高いので、受講前に必ずアジェンダを確認した上で、参加の判断をすると良いでしょう。

抱えている課題に合った講義を選べる

人的資本経営を実施する中で、直面する課題は企業によって様々です。

例えば、「人材確保」が課題になっている企業でも、人事部門と現場での連携やマネジメントがうまくいっていないのか、働き方改革が必要なのか、情報開示をして優秀な人材に応募してもらうことが必要なのか、といった要因は多岐にわたります。

これを独学で解決しようとしても、効果的な解決策を見つけるには時間がかかるだけでなく、本当に自社に合った解決策か確証を得るのも難しいです。

一方で人的資本経営に関するオンラインセミナーは多様化しており、「部下のエンゲージメントを高める方法」「リソース不足の改善方法」「非財務資本を読み解く力」など、かなり具体的な内容のオンラインセミナーが開催されています。

興味のあるオンラインセミナーを見つけた場合は、そのセミナーのアジェンダと解決したい課題がマッチしているか確認して参加するとよいでしょう。

セミナーで基礎知識から実践内容まで学べる

前述した通り、コンサルティング会社をはじめとする様々な会社が多種多様なオンラインセミナーを開催しています。

基礎知識の解説、最新情報の共有、実施事例の紹介などオンラインセミナーのテーマは様々です。

人的資本経営をこれから学ぼうとしている方から、人的資本経営に取り組み始めて見えてきた課題を解決したい方まで、受講者のニーズに幅広く対応しているオンラインセミナーが増えているようです。

それぞれのセミナーの内容を全てご紹介するのは難しいですが、過去に開催されたカンファレンスと、経済産業省が開催したオンラインセミナーの内容についてご紹介します。

過去に開催されたカンファレンス

2022年11月に株式会社文藝春秋主催のカンファレンスが開催されました。カンファレンス内で行われた講義の内、『人的資本経営による長期的ブランド価値の創出プロセスとは』というテーマの講義をご紹介します。

この講義では“人的資本経営とコーポレートブランドの関係”についてブランディングの観点から解説しています。コーポレートブランディングの歴史から始まり、実施プロセスまで幅広く紹介しているため、人的資本経営とブランディングの関係や違いを理解したい方におすすめできる講義でした。

人的資本経営の中でも障壁になりやすいポイントや、「挑戦し続ける組織文化」の重要性についても解説しているので、気になる方は下記ページをご覧ください。

関連記事:『人的資本経営による長期的ブランド価値の創出プロセスとは』

経済産業省主催のセミナー

人的資本経営については国内外で議論が進んでおり、経済産業省もオンラインセミナーを開催しています。オンラインセミナーでは、中長期的な企業価値向上に繋がるように、自社の経営戦略・経営課題をどのように判断して行動すべきかの方向性が提示されました。

2022年3月に開催された「人的資本経営という変革への道筋」というオンラインセミナーは経済産業省のホームページから閲覧が可能です。人的資本経営について詳しく知りたい方は、一度オンラインセミナーに参加してみることをおすすめします。内容については以下のようなものが挙げられます。

  • 基調講演
  • 「人材版伊藤レポート2.0」について
  • 国内先進企業の経営戦略と人材戦略
  • 投資家が求める人的資本経営
  • ラップアップセッション

出典:経済産業省『人的資本経営~人材の価値を最大限に引き出す~』

人的資本経営と経済産業省の関係についてはこちらから。

コンサルティング会社のオンラインセミナー

経営コンサルティング業界を始めとする様々な企業によって、人的資本経営に関するオンラインセミナーが頻繁に開催されています。

人的資本経営をこれから始めようとしている企業に向けたものから、かなり具体的な実践例を解説するオンラインセミナーもあります。

例えば、過去に開催されたこちらのオンラインセミナーでは、「リスキリング」に課題を感じている方向けの講義をしており、人的資本経営を何となく理解したい方には向いていません。

出典:『日経リスキリングサミット』

よって、オンラインセミナーを受講する際は目的を明確にすることが重要です。

目的とテーマが一致したセミナーが開催されるかどうか、コンサルティング会社のオンラインセミナー情報を定期的にチェックしたり、メルマガを配信している場合は会員登録をしておくとよいでしょう。

まとめ

人的資本経営を理解するには、オンラインセミナーへの参加が有効手段と言えます。

書籍やWebサイトの情報をインプットしただけでは、理解に時間がかかってしまうケースが多い一方で、セミナーでは要点をわかりやすく解説してくれるため、時間短縮にもなります。

いきなり対面でのセミナーに参加することに抵抗がある方は、一般公開されている動画の視聴や、オンラインセミナーへの参加からはじめることをおすすめします。

弊社でもさまざまなテーマでセミナーを開催していますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

関連サイト:株式会社揚羽 セミナー一覧